日本の医療保険ガイド

日本の公的医療保険のしくみを、住んでいる方・長期滞在の外国人の方・短期旅行者の方に分けてわかりやすく解説します。窓口での自己負担、加入方法、よくある疑問まで。

30秒でわかる要点。日本は国民皆保険制度です。3ヶ月を超えて在留する方は、いずれかの公的医療保険への加入が義務付けられています。加入後は、保険が医療費の約7割を負担し、窓口での自己負担は原則3割です。短期の旅行者・観光客は公的保険の対象外で、全額自己負担となるため、海外旅行保険のご加入を強くおすすめします。

1. 二つの公的保険制度

日本に住む方のほぼ全員が、以下のいずれかに加入しています。

健康保険(社会保険)

会社員・公務員の方は、勤務先を通じて加入します。保険料は給与の約10%で、本人と勤務先が折半(実質的な負担は給与の約5%)。配偶者やお子さまを扶養家族として追加する場合、追加保険料はかかりません。

国民健康保険(国保)

自営業・フリーランス・学生・年金生活者・会社員以外の外国人住民の方は、お住まいの市区町村の国民健康保険に加入します。保険料は前年所得に基づいて計算されるため、来日初年度は通常かなり低額です。お住まいの市役所・区役所の窓口で加入手続きを行います(オンライン手続きは原則不可)。

後期高齢者医療制度。75歳以上(一定の障害がある方は65歳以上)の方は、自動的にこの制度へ移行します。所得に応じて自己負担は1〜2割になります。

2. 窓口での自己負担

未就学児
2割(自治体助成で無料の地域も多数)
小学生〜69歳
3割
70〜74歳
2割(現役並み所得は3割)
75歳以上
1割(所得に応じて2〜3割)

多くの自治体では子どもの医療費を独自に助成しており、東京都・大阪市・福岡市などでは15歳または18歳まで実質無料となるケースがほとんどです。お住まいの市区町村窓口で「子ども医療証」についてご確認ください。

高額療養費制度

1ヶ月の自己負担が所得に応じた上限(標準的な所得の方で約8万円)を超えると、超過分が払い戻されます。入院や高額な治療が事前にわかっている場合は、保険者から「限度額適用認定証」を取り寄せておくと、窓口での支払い自体を上限額までに抑えられます。

3. 長期滞在の外国人の方へ

在留カードの有効期間が3ヶ月を超える方は、勤務先の健康保険または市区町村の国民健康保険のいずれかへの加入が法律で義務付けられています。海外の民間保険による「適用除外」はできません。

国民健康保険への加入手順

加入を先延ばしにしないでください。遅れて加入すると、住民登録した日まで遡って保険料を請求されることがあります。また保険証が届くまでの受診は、いったん全額自己負担となります。

マイナ保険証

2024年末以降、紙の保険証は段階的に廃止され、マイナンバーカードを保険証として利用する仕組み(マイナ保険証)が標準化されつつあります。対応のカードリーダーが設置されたクリニックでは、マイナンバーカードをかざすだけで受付できます。移行期間中は、必要に応じて紙の「資格確認書」が発行されます。

4. 短期旅行・観光の方へ

観光ビザ・出張等で90日以下の滞在の方は、日本の公的医療保険の対象外です。Healthtomo 掲載の多言語対応クリニックは外国人患者の受け入れに慣れていますが、診察料は窓口で全額お支払いとなります。

無保険時の費用目安

一般内科の受診
6,000円〜12,000円
専門医の受診
10,000円〜25,000円
歯科の基本検診
8,000円〜15,000円
レントゲン等の簡易画像検査
5,000円〜15,000円
救急外来(入院なし)
20,000円〜60,000円
救急車(119番)
無料
海外旅行保険は事後精算が一般的です。多くの旅行医療保険はクリニックでいったん現金またはクレジットカードでお支払いいただいた後、領収書(明細書)と診断書をもとに払戻請求する方式です。両方とも必ず受け取り、保管してください。

支払い方法

都市部の多言語対応クリニックの多くは Visa・Mastercard・JCB を取扱いますが、地域の小規模クリニックや歯科では現金のみのところも残ります。Healthtomo の各クリニック詳細ページに記載がない場合は、ご予約時にお問い合わせください。

5. 保険でカバーされるもの・されないもの

公的保険は、診療報酬点数表に基づく治療上必要な医療を対象とします。一般診療・専門外来・入院・処方薬・リハビリ・精神科診療・血液検査や画像検査などが含まれます。

原則として保険適用外(全額自己負担)

6. 知っておくと役立つ場面

妊娠・出産

妊娠は病気ではないため妊婦健診は原則自費ですが、市区町村が「妊婦健診受診券」を交付しており、健診費用の大部分が助成されます。出産時には50万円の出産育児一時金が支給されます。妊娠が確定したら、できるだけ早く市区町村窓口で母子手帳を受け取ってください。

メンタルヘルス

精神科の診察、心理療法、処方薬は通常の3割負担で利用できます。うつ病・不安障害等の継続治療には、「自立支援医療」制度を利用すると自己負担が原則1割に軽減されます。

介護保険

40歳以上の方は介護保険料の負担が始まり、65歳以上(特定疾病の場合は40歳以上)で在宅・施設の介護サービスを利用できるようになります。

保険証を持っていない場合

多くのクリニックでは、当日いったん全額をお支払いいただき、同月内に保険証を持参すれば差額を返金してもらえます。期間が空いた場合も、領収書を添えて保険者へ「療養費」の払戻請求が可能です。

緊急時

救急車・消防は119、警察は110。救急車は保険の有無にかかわらず無料です。緊急ではない多言語の医療相談は、AMDA国際医療情報センターで多言語対応クリニックの紹介を受けられます。

7. クリニックで使える日本語

保険証
医療保険のカード
マイナ保険証
マイナンバーカードを保険証として利用
初診
初めての受診(初診料が加算)
再診
同じ症状での再診
紹介状
別の医療機関への紹介状
処方箋
薬局へ持参する処方せん
自費診療
保険適用外で全額自己負担の診療

8. Healthtomo の使いかた

Healthtomo に掲載されている各クリニックは、対応する保険制度・自費診療への対応を明示しています。クリニック検索の「保険対応」フィルタで絞り込み、各クリニックの詳細ページで料金の目安や持参するものをご確認ください。

本ガイドは一般的な情報提供を目的としたものであり、法律・税務・医療上の助言ではありません。保険料率、自己負担割合、給付の上限額は制度改正や自治体・所得により変動します。個別のご状況については、勤務先の人事担当、お住まいの市区町村窓口、または保険証に記載の保険者までご確認ください。最終更新:2026年5月。